みなさん、ラジオ「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」を聴いていますか?
新聞配達をしながらイヤホンを付け、毎日「ジブリ汗まみれ」のポッドキャストの全てを何クールも聴きまくった筆者が、面白かった放送回を中心に、その内容をぎゅっと要約してその感想をお届けします。
- 「ジブリ汗まみれ」の内容がダイジェストで読める
- 鈴木敏夫さんとゲストの名言がわかる
- 鈴木敏夫さんとゲストのおすすめの本や映画がわかる
(当ブログ記事は、筆者が個人的に趣味で感想を記しています。ジブリ汗まみれの公式ホームページではございません。)
さて、早速今回の本題にいきましょう!
ジブリ汗まみれ鈴木敏夫さんと川村元気さん!アニメ映画の現場はアジアがキテる理由!
今回取り上げる回は、2015年4月13日放送の「『日本のアニメ・映画の未来について』ゲスト川村元気さん」からです。
「ジブリ汗まみれ」ポッドキャストのトピックス

- アニメ映画の制作現場はアジアが盛んになってきている
- 日本のアニメ・映画にはマンガの連載方式による面白みがあった。
- 映画「寄生獣」「バケモノの子」に共通するのは、異世界のものと共存共闘共生することだった。
川村元気さんとは?
東宝の映画プロデューサー。いま日本で最も影響力のある映画プロデューサーと言われる。2005年公開の『電車男』をはじめ、小説原作の『告白』『悪人』、アニメ漫画原作の『モテキ』『おおかみこどもの雨と雪』『宇宙兄弟』『寄生獣』『君の名は』などを手がける。2012年からは『世界から猫が消えたら』『億男』など小説家としての顔も持つ。
アニメ映画の現場はアジアがキテる理由!

- ピクサーアニメーションスタジオにそのひみつがあった!
- 宮崎アニメをみんな勉強してる!
ピクサーアニメーションスタジオにそのひみつがあった!

- ピクサーで働いていた人たちがアジアの母国に帰って大活躍している!
マジなんですねえ。鈴木さんが面白いことを語っていました。
鈴木さんはピクサースタジオを30年くらいみてきたそうですが、最初、スタッフは隣近所の人だったそうです。
鈴木さん:「ピクサー入って10年20年経って辞めるでしょ。辞めた後、国へ帰ってスタジオ建てて人の養成をやる。これがどんどん起きたわけ。その人たちがいま、アジアで大活躍。タイ、マレーシア、台湾、インドネシア、ベトナム。」
鈴木さんいわく、ゲーム、パチンコで使われる3DCGの80パーセントはタイで作られていて、さらにアメリカの大作アニメーション映画もアジアで作られているそうです。
宮崎アニメをみんな勉強してる!

ここでの鈴木さんの一言が印象的です。
鈴木さん:「宮崎アニメをみんな勉強してる!」
ここで鈴木さんは、今後ジブリでどうしていくかと考えたときに、壁にぶち当たったと言っています。
日本のアニメーションどうやって作っていくのか。現場はアジアである、と。
細田守監督の『バケモノの子』は手書きとCG

- 基本的には絵を描く能力が大事!手書きでもCGでも共通して大事なのは絵を描く能力。
川村さん:「CGアニメ、ぼくも『フレンズもののけ島のナキ』って『STAND BY ME ドラえもん』のチームの前身の作品なんですけど、やってみて、基本的には絵を描く能力がないとCGもダメだし、アニメーションをつけるって行為はコンピューターでやるのも、手で書くのも同じ。」
川村さん:「細田守のバケモノの子ってやってるんですけど、ザ・手書きのチームがバーっとやってて迫力がやっぱりあるなーって。」
鈴木さん:「細田くん頑張ってるんだねー。こだわるの?手書きに。」
川村さん「手書きにこだわってます。もちろん美術とかはCGにしたりとか。混ぜてるんですよね。ま、『おおかみこどもの雨と雪』とか『サマーウォーズ』の時もやってますけどね。」
ジブリ作品の作り方はまるで連載漫画のよう!

この後、トークの中で、面白い話がありました。
鈴木さんのところには、アジアの人が訪ねてくるそうです。
「技術は身につけた。ある程度のことはできます。でも長編ってどうやって作るんですか?」って。
アニメーションの短編映画祭でも、グランプリを獲るのはほとんどアジアなんですって!
「あとは企画と、どういう仕組みでどうやってやっていくか、それを教えてくれ。」
ということのようです。
でも、ジブリの作品の作り方って再現できるんでしょうか?
ここはお二人の会話を聞いてみましょう。
川村さん:「でもジブリの長編の作り方って、特殊じゃないですか」
鈴木さん:「まあね」
川村:「ピクサーはシステマティックにストーリーボードでスタッフと打ち合わせしながら進めていって。一方、宮崎監督は、一筆書きのように、頭からラストに向けて書いていくっていうね。鈴木さんのいう、連載の方式で。だからこそオリジナリティのあるものができてるっていう。」
鈴木さん:「日本の伝統的なっていうか。漫画ってそうじゃない、連載。これ、実写においてはなくなった。シナリオ作ってからやる、これ西欧的。これ、元に戻してよ 笑」
川村さん:「全部ストラクチャーが頭からケツまで決まっているって、安心材料ではあるんですけど、それ以上突き抜けない。」
鈴木さん:「つまんないよ」
川村さん:「日本的な作り方って部分で、西洋的ないわゆるギリシャ神話からくるストーリーテリングと戦ってみるのも面白いだろうなと。」
鈴木さん:「昔はそっちの方が大勢閉めてて、ケツまで決まってるのはいわゆる巨匠のやり方。今や若い人も含めて巨匠のつくりかたじゃない。ちょっと変なんじゃないかなってのがどっかにある。一筆書きでしかやれない面白さってある。」
川村さん:「そのやり方でジブリが成功してしまったがゆえに、路頭に迷ってる人も多いすけどね。再現性が低いやり方じゃないすか。技術として継承するって難しい。」
鈴木さん:「昔のマンガのことを考えたらみんな平気でできるはずなんだけどなー」
川村さん:「鈴木さんが編集者だってところで、ある種、連載の原稿をとるように、宮崎監督からコンテを引き出すというかね。」
鈴木さん:「スリルとサスペンスを味わうということがいいことに寄与するだろうってのが彼の考えだよね。絶対完成させない。シナリオを作っといてそれだけをやるのは面白くないよってやつ。自分自身がその登場人物になってハラハラドキドキしたい、それが多分映画にいい影響を与えるだろうってやつ。」
川村さん:「本当にそれ漫画の連載の作り方」
川村さん:「どっかでそれがビジネスになった時に、最後まで全体が見えてるものじゃないとお金が出しにくいとか。」
鈴木さん:「それはあるよね」
映画プロデューサーが語る!アニメ映画制作のグローバル化

- ストーリーや企画を考える能力は日本が進んでいる。それは漫画があったから。
- アクション、撮影に関して、香港、韓国、台湾の監督が優れている。
- 例えば日本のストーリーでアジアの監督にディレクションさせる、それを当たり前のようにできるようになった方がいい。
日本のアニメ映画制作スタッフは優秀である

川村さん:「日本のスタッフの力って優れてるんで、むしろ向こうのディレクターとかすごい人を日本に持ってきちゃって、日本映画として監督だけが外国人みたいなことがうまくいくと。」
川村さん:「日本のスタッフ、美術的感覚が優れたチームを向こうの優れたクリエイターが一緒に仕事したいという流れが進めばいいですけどね。日本は悲観しなくていいのは、キャラを作るってことだったり、ストーリーを作るってことは、脈々と媒体が多い分やってきてるので。国っていう単位が壊れちゃったりとか、そもそも世代間ってことも壊れてきちゃう気がしてて。逆にいうと、企画単位で、年代も国も関係なく集まるみたいなのが早晩くるし、そこに乗り遅れると本流から外れちゃいますよね。」
映画プロデューサー、映画監督、俳優、スタッフ、その役割分担も境界もどんどんなくなってきている

- ブラッドピット、ジョージクルーニーなど有名な俳優達が、名プロデューサーであり経営者でもある。
- ある時期のアメリカ映画の監督は、みんなカメラマン出身。美しい映像を獲る流れが10何年続いた。
- アメリカ映画で編集権を監督に渡さないのは、アメリカ黄金期のプロデューサーが編集出身だったから。
川村さん:「山田洋次監督、山田組の人たちと話すと、何が面白いか、っていう議論は世代の差を感じない。人は何に笑うの?何が怖いの?って話とか。年齢もそうだし、職せいもそうだし、国もそうなんですけど、そこが自由になったところで企画を作ってくという風になっていくのかなって。」
川村元気さんが小説を書く理由は映画業界を外から観るためだった

川村さん:「鈴木さんは紙媒体の編集者から映画業界に殴り込みしてきて、実は外様のまま、、、笑」
鈴木さん:「他の業界から来たってのは、コンプレックスはあったよね。5年やっても10年やってもまだ新参者って気分だったし、だから映画人って言われるとこそばゆくって最近少し慣れてきた」
川村さん:「徳間書店のかたですからね。僕は逆で東宝っていう、ザ・映画会社に普通に入って映画のことばっかりやってきたんで、逆に小説書いたりして、一回外様になってみたら、映画がどう見えるんだっていうのやってますね」
鈴木さん:「絶対その方が面白いよね。」
川村元気さんの書籍はこちら
映画「寄生獣」と「バケモノの子」の共通点とは

- 異世界のものが共存共闘共生する話
川村さん:「『寄生獣』って映画を今やってて、細田守監督の『バケモノの子』ってのをやるんですけど、共通するのは、異世界のものが共闘するっている、共存共闘矯正するって話なんですよ、どっちも偶然。高校生が右手にパラサイトをつけて戦う、って話だったりとか、普通の人間の少年がバケモノと一緒に戦ってくって話とか。」
川村さん:「今、違うものを受け入れるとか一緒になんかやるっていうことでしか、突破できなかったりするのかなっていう。だから今になってみんなが寄生獣をやるってことだったりとか。細田監督が、渋谷の少年とクマみたいなバケモノ組み合わせるのも、混ざってくしかないみたいなというところもあんのかなっていう。」
鈴木さん:「江戸時代にさあ、天変地異の大混乱に陥る。こういうことが起こるのは何か原因がある、それをもののけにしたんだよね、日本人って誰が犯人かってのを決めることによって安心する。そういうことでいうと、寄生獣みたいな企画が出てくるのはなんとなくわかるし、そうやって決めちゃうと、人間ってまた次に進める。」
川村さん:「得体の知れないものに形を与える、ということですよね。」
いかがでしたでしょうか。映画制作のいまと未来について、とても興味深いお話でしたね。
常に現場の最前線を走る映画プロデューサーお二人のお話は、みなさまのものづくりやお仕事のヒントになりましたか?
川村元気さんは、小説の他にも本を出しています。
仕事のやり方について、様々な大物と対談した話です。
その名も『仕事。』(モロなタイトルですね!)
この記事を最後まで読んでくださった方にはもう間違いなくオススメです。
これを読めば、川村元気さんのヒット作品を作るものの考え方、仕事の仕方について、より学べます。
最後に、この本を紹介しておきますね。
それでは、また次の記事でお会いいたしましょう!
